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あきない知っ得情報TOP=施策バックナンバー一覧=自社を知るために財務データを活用しよう

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今月の施策 バックナンバー

イラスト前回、事業計画について触れましたが、その中で事業計画作成にはまず現状把握が重要であることをお伝えしました。自社の状況を把握するために、従業員(ヒト)については直接面談する、商品在庫(モノ)であれば棚卸しを行うなどの行動が考えられますが、資金(カネ)については、決算書や資金繰り表などの財務諸表を確認することがもっともポピュラーな方法と言えます。

この財務諸表について、国は「自計化」することを推奨しています。自計化とは、企業が営業取引の内容などの会計処理を自分で会計ソフトに入力することを言います。自計化は企業にとって、手間がかかるため、なるべくなら会計処理を外部の専門家に委ねたいと思う経営者の方も多いのではないかと思いますが、そういった手間をかけてでも自計化するメリットはあります。

今回は企業の現状把握にとても重要な財務諸表の「自計化」と財務データを活用した現状把握をさらに進める「財務分析」について見ていきたいと思います。


1.「自計化」とそのメリット

まず、中小企業の経理事務の状況を見てみましょう。中小企業庁の委託事業「中小企業における会計の実態調査事業」(平成26年度)を見ると、「自社の会計ソフト等に入力しており、定期的に会計専門家のチェックを受けている」と回答した割合が63.9%と最も多く、次いで「自社で記帳、伝票入力は行っておらず、納品書、請求書、領収書等を会計専門家(税理士・公認会計士等)に提出している(記帳代行)」(24.7%)という結果が出ています。

<図表1:経理事務の状況>

図

(出典:平成26年度中小企業における会計の実態調査事業報告書)

これを見ると、案外中小企業の「自計化」は進んでいるように思われますが、回答している中小企業は専任の経理担当が1人以上いる割合がほとんどで、経理担当が兼任している企業の割合(12.2%)だけで見ると、おそらくこの数字よりかなり低くなるものと思われます。


自計化を行う最大のメリットは、自社の経営状況がタイムリーにわかり、スピーディーな意思決定が可能になることです。もし、会計処理を外部の専門家に任せることになると、「資料提出」→「会計処理」→「フェードバック(報告)」といったステップを踏むことになり、当然そこには欲しい情報を得るため、タイムラグが発生します。このタイムラグを排除することにより、意思決定がスムーズになるとともに、財務データを活用した意思決定を続けることにより、「勘に頼った」意思決定から「科学的な」意思決定への移行につながります。

つまり、会計処理した財務データを経営に生かすことができるということです。人間でたとえれば、自らの健康状態(例:体重や血圧など)を数値で記録し、数値の変化で自身の健康を気遣ったり、病院に行くなどの対応を早めにとれる、といった感じになります。年に1回の人間ドッグ(会社で言えば決算)だけでは対応に遅れが出ることもあるわけですが、日々のチェック(つまり自計化)を行うことにより、会社の健やかな発展につながるのだと言えます。


イラスト


財務状況は、自社の現状を把握する上で最も基礎的な指標であり、将来の事業計画を検討する際にも現在の財務状況がベースになること、また、企業として最悪の結果となる倒産は、倒産に至る前の兆候として財務状況の悪化がみられることから、経営者は常日頃から財務状況の把握に取り組むことが重要となります。


次に、自計化を進めるための会計ソフトですが、先述の「中小企業における会計の実態調査事業」を見ると、会計ソフトとしては「顧問先の会計事務所が推奨する会計ソフト」が 47.4%と最も多く、次いで「市販のソフト」が 35.4%となっています。

商工会では、「ネットde記帳」というインターネットを利用したASPシステム(インターネット経由でソフトウェアを利用できるサービス)で、一般の会計ソフトと同様、伝票入力や決算、各種申告書作成などが 「いつでも」「どこでも」「誰にでも」簡単に行える経理システムを提供しています。商工会でこのシステムの操作方法のサポートを行うことに加え、商工会などによる記帳・経理などの指導が受けられるということが「ネットde記帳」の特徴となっています。自計化を進める上では、好ましいシステムだと思います。

<図表2:「ネットde記帳」のスキーム>

図

(出典:全国商工会連合会HP)

2.財務分析の有効性

自計化により財務諸表を作成することは、作成自体メリットをもたらすものだとご理解いただけたと思いますが、自社の現状把握という点では、さらに良い方法があります。それが「財務分析」です。

財務諸表自体は、絶対値を把握する意味で、自社を時系列に比較することにより、前期に比べ今期はどうだといったことを知ることができます。また、時系列の伸び率を見ることにより、来期はこうしたいという目標値を設定することにも役立てることができます。

ただ、同業他社と比べたりする時に絶対値だけでは比較しにくい場合があります。そこで、相対化するために利用するのが財務分析です。もちろん、他社との相対比較だけではなく、財務分析は自社の財務データの時系列比較も可能です。財務分析により、経営判断をさらに高度に・多面的に行うことによって、事業計画の作成などに応用が可能です。少し古い調査(平成17年度中小企業白書)になりますが、各種経営指標の分析、財務分析に基づいた事業計画の作成などを行っている企業の割合を比較すると、業績好転企業の方が高いという結果も出ています。


経営者は事業活動の際に、自身の経験からある程度、事業の見通しを立てて行動していますが、目先のことばかり考えるのではなく、長期的な見通しを立てて行動する必要があります。目先のことのみを考えた行動は、本来その企業が目指し行うべきことがぼやけてしまい、ややもすると他律的な行動となってしまいがちです。そうなると、思いもよらぬ方向に事業が進んで行ったり、事態が悪化してももう取り返しがつかない状況に陥ることもあり得ます。

そのようなことにならないために、財務諸表を過去と比較するだけで済ませるのではなく、そこからもう一歩踏み込んだ財務分析を経営者自身が理解すること、また月次試算表の作成時間を速める(自計化)ことで自社の状況を早く把握し、次の事業計画を立てることが重要なのです。

具体的な財務分析ですが、独立行政法人中小企業基盤整備機構が提供している「経営自己診断システム」(自社の財務数値を入力すると、財務状況と経営危険度を無料で点検できるシステム)が使いやすいと思います。

<図表3:「経営自己診断システム」入力画面>

図
(参考)経営自己診断システムTOP画面URL
http://k-sindan.smrj.go.jp/crd/servlet/diagnosis.CRD_0100


経営自己診断システムは、中小企業庁の主導により、中小企業金融の円滑化を図る目的で開発された中小企業信用リスク情報データベース(略称CRD)に蓄積されている約100万社の中小企業(うち7割は、年商3億円以下の比較的小規模な企業)の財務データを用いて構築されています。 上記の入力画面に決算情報を入力すると、CRDに蓄積された同業他社の大量データ(各業種について数千社~数万社の同業他社データを保有)と比較することができるため、業界の中での各財務指標値の優劣を点検することができるほか、収益性、効率性、生産性、安全性、成長性の5項目について経営状態を点検することができます。また、特に安全性指標を取り出して、同業種のデフォルト企業(倒産や借入金の延滞などにより債務不履行に陥った企業の総称)と比較することで、経営の危険度についても点検することができます。

一度実際に利用してみて、自社の財務状況を確認することをお勧めします。

また、商工会では事業者支援ツールの1つとして経営分析システムを持っており、経営分析はもちろん、直近の決算書数値から収益性や資金面、事業継承や税務対策など色々なシミュレーションも行えますので、商工会会員の方は所属商工会へ相談してみるのもよいでしょう。


国は超高齢社会の到来に備え、セルフメディケーション、つまり「国民一人一人が、自分自身の健康に責任を持ち、軽度な身体の不調は自分で手当てしよう」ということを呼びかけています。同様に、今後は中小企業政策において、セルフイニュメレーション(self-enumeration=自計)ということが呼びかけられるかもしれませんね。

要は、人で言えば「自分の健康は自ら気遣う」というのと同様に、「自社の経理は自社で行い、経営に活かす」ということを前向きに取り組んでいくことが真の「経営管理」につながるのです。「他人任せ」にしないで、経営者自らが財務状況の理解を深めるという姿勢が重要なのです。

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