商工会 100万会員ネットワーク COMPASS CLUB
 
スペース
コンパスクラブ コンパスクラブTOP 商い知っ得情報TOP 地域情報TOPページ
スペース
スペース
現在のPAGE

あきない知っ得情報TOP=施策バックナンバー一覧=14年12月「連携体による新事業展開」

現在のPAGE
スペース
今月の施策

中小企業の新事業展開を支援する法律があります。以前は、業種や業界団体に対する縦割り的な支援が主流でしたが、平成11年に旧中小企業経営革新支援法(現中小企業新事業活動促進法)の施行により、支援の対象が全業種の中小企業単独のみならず、グループ、組合等も含まれるようになりました。また、平成17年施行の中小企業新事業活動促進法で、「新連携」という事業体が支援の対象となり、その後連携に基づく支援施策が多く生み出されることになりました。イラスト

このような時代の流れの中で、現在の事業のみならず、新たな事業に取り組む中小企業も増えてきています。外部環境の変化への対応を行うために、新事業に起死回生の糸口を見出すケースもあるでしょう。企業の強みを活かしながら、または現事業との相乗効果が見込める分野へ積極的に進出するため、新事業展開を行う中小企業も存在しています。

今回は、今後も積極的に事業を行う中小企業・小規模事業者の「新事業展開」について、その現状や連携体としての取組みについて見ていきます。


1.新事業展開の現状

新事業展開は、取り組んだ企業の多くが今後の売上増を見込むなど、事業の再生や成長の観点から重要な戦略という位置づけになっています。この観点から、国は中小企業・小規模事業者の積極果敢な挑戦は、企業自身の成長につながるばかりではなく、わが国経済の活性化に寄与する可能性も大きいと考えています。

このことについて、2013年度版の中小企業白書に触れたいと思いますが、まず、新事業展開に関する言葉の定義を見ておきましょう。


<図表1:新事業展開の分類>

図

(出典:2013年度版中小企業白書)


では、白書の内容に入ります。

2013年度版の中小企業白書によると、新事業展開を実施した企業について、新事業展開の検討を始めたときの業績傾向を見ると、事業転換した企業、多角化した企業ともに、当時の業績は好転と悪化がほぼ拮抗しています。検討を始めた当時から業績が好転していた企業ばかりが、新たな収益源確保のために新事業展開を実施しているわけではなく、業績が悪化している中で、現状打開のために新事業展開を実施した企業の二者が存在することが推察されています。

また、新事業展開を実施した後の主力事業の見通しを見ると、事業転換した企業、多角化した企業ともに、新事業展開を実施・検討したことがない企業と比較して、主力事業の成長が期待できると回答する割合が高くなっています。この傾向は、特に事業転換した企業で顕著であり、事業転換した企業は、既存事業から、より成長余地の大きな事業分野へ転換を果たしたことがうかがえます。

さらに、事業転換した企業、多角化した企業ともに新事業展開を実施・検討したことがない企業に比べて、国内市場の見通しは明るく、自社の主力事業ばかりでなく、国内市場全体に対しても、成長が期待できると見込んでいます。


こう見ると、新たな事業展開を行うことは、まるでバラ色の話のように感じますが、新事業展開を行う際には課題も存在しています。

新事業展開を実施した企業が直面した課題を、規模別に比較して見ると、小規模事業者では「自己資金が不足」(33.0%)、「資金調達が困難」(23.5%)のように資金面の課題を挙げる事業者が多くなっています。新事業展開を行うにしても、やはり、先立つものはカネ(資金)ということになります。

それに対し、中規模企業では「新事業を担う人材の確保が困難」(42.1%)、「新事業経営に関する知識・ノウハウの不足」(34.8%)と回答する企業が多くなっています。また、「販売先の開拓・確保が困難」(小規模事業者:36.5%、中規模企業:34.5%)は、規模にかかわらず多くの企業が挙げており、共通の課題となっています。

<図表2:規模別の新事業展開に際して直面した課題>

図

(出典:2013年度版中小企業白書)

また、新事業展開の際の課題を製造業に限定して下請比率別に見ると、下請比率が高い企業の方が、「販売先の開拓・確保が困難」と回答する割合が高くなっており、親事業者との取引に依存している企業にとっては、新たに販路を確保することの難しさが表れています。



以上から、新事業展開を積極的に行いたいと思っていても、資金や販路開拓等が課題になるため、二の足を踏んでしまう中小企業・小規模事業者も相当数いるのではないでしょうか。

こうした新事業展開を行う際の課題を打開するため、中小企業・小規模事業者同士が互いに連携し、不足している経営資源を相互補完する取組も一つの方法として考えられています。

では、次に連携体による新事業展開について見ていきましょう。

2.連携による新事業展開

連携というのは、「他者と互いに協力して物事を行うこと」です。他者と手を組んで、互いが利益を得られる関係、つまりWin-Winになることをいいます。連携は、その結びつきの関係、連携の参加者によって、さまざまなものがあり、それを支援する法律等も異なっています。

では、その連携の代表的パターンを次に見ます。


連携という言葉が、施策面で大いにクローズアップされたきっかけは、冒頭でも説明しましたが、平成17年施行の中小企業新事業活動促進法の「新連携」です。他にもさまざまな連携のカタチがあります。主なものは以下のとおりです。

<図表3:施策における連携の類型>

図

このうち、新連携と農商工等連携について、もう少し見ていきます。


1) 新連携(新事業活動促進法)

新連携は、中小企業が事業の分野を異にする事業者(中小企業、大企業、個人、組合、研究機関、NPO等)と連携し、その経営資源(技術、マーケティング、商品化等)を有効に組み合わせて、新事業活動を行うことにより、新市場創出、製品・サービスの高付加価値化を目指す取り組みです。

2) 農商工等連携(農商工連携促進法)

農商工等連携は、@中小企業者と農林漁業者が連携し、互いの経営資源を活用して、当該事業者にとっての新商品又は新サービスの開発や需要の開拓等を行うこと、A連携するそれぞれが工夫を凝らした取組を行うこと、B連携事業を通じて、それぞれの経営の改善が見込まれることを要件とした連携です。


この二つの連携は、似ていますが、農林水産品を活用した商品による取組の例でその違いを見てみます。

まず、新連携ですが、この法律において農林水産品を活用した商品の要件は、@相当程度の需要の見込みがあること、A新たな事業分野の開拓であることが必要となります。例として、缶詰製造業と調味料製造業が連携して、サケの頭部から高機能性サプリメントを生成するケースがあげられます。このため、中小企業者と農業者との連携によるもので考えた場合、新連携については革新的な取組に限られてしまいます。

これに対して、農商工等連携促進法の対象となるのは、@農林漁業者と中小企業者、双方が経営資源を持ち寄って行う商品等の開発・生産・販路開拓であること、ただし、単なる農林水産品の中小企業による活用ではないこと、A当該取組が両者の経営の向上に寄与するものであること、つまり一定の需要の見込みがあることが要件とされており、幅広い農林漁業者と中小企業者による連携を支援することが可能となっています。


中小企業者と農林漁業者の農商工等連携の事例(2008年3月「農商工等連携促進法案について」より)には、次のようなものがあります。

一つ目は、商品の開発・生産ですが、中小企業者である地元製粉業者と地元小麦生産農家等が連携して、栽培の難しい地場産小麦「ハルユタカ」を活用し、高品質な麺を開発。地域ブランド「江別小麦めん」として、年間約300万食を売り上げ、地域活性化に貢献したという事例です。

イラスト二つ目は、サービスの開発・提供として、中小企業者である旅館業者と地元農家が連携し、新サービスとして減農薬栽培農産物を活用したジャムなどの加工品販売、自然食レストランでの新メニューの開発、ウエディング事業を開始し、年間20万人の観光客が訪れたという事例があります。

このような事例を見る限り、農林漁業者の生産する農作物等に中小企業者の有する技術やノウハウをうまく組み合わせることによって、新たな事業が生まれていることが分かります。

単独ではなかなか、発想も実現も難しいことを「三人寄れば文殊の知恵」とまではいいませんが、それぞれの強みや経験を持ち寄って新事業展開することは取り組みやすいものと思います。




平成17年の中小企業新事業活動促進法施行によって、国は他者と連携し、新たな事業展開を行う事業体の支援を積極的に進めるようになりました。これは、中小企業・小規模事業者等が枯渇する経営資源(ヒト、モノ、カネ、ノウハウ、情報等)をお互い補完しながら、ともに事業を進めることを示していますが、観点を変えると、従来の中小企業施策の限界を「連携」というカタチで中小企業者が中心となった事業体自らがさまざまな困難を乗り越えていくことを促しているという風にもとらえることができます。

なお、企業が新事業展開を実施・検討するに当たっては、経営者がリーダーシップを発揮し、率先して実行していくことが必要となります。まずは、現在の主力事業の見通しを含めた自社の事業内容の検証や、情報収集に努めるなどの取組を行うことが重要になります。こうした取組によって、新事業展開を実施するための障害を克服することができるばかりでなく、新事業展開を成功させる近道にもなり得ると考えられています。要はまず、自社の「足元を見つめ直す」ということですね。

END
スペース スペース
平成23年度版施策知識分野別施策利用情報

分野別施策利用END

スペース
商工会 100万会員ネットワークEND
バックナンバー一覧ページTOP
バックナンバー