商工会 100万会員ネットワーク COMPASS CLUB
 
スペース
コンパスクラブ コンパスクラブTOP 商い知っ得情報TOP 地域情報TOPページ
スペース
スペース
現在のPAGE

あきない知っ得情報TOP=施策バックナンバー一覧=14年11月「中小企業・小規模事業者の事業承継」

現在のPAGE
スペース
今月の施策

中小企業・小規模事業者の経営者の高齢化が急速に進展しています。実際に、経営者の60歳以上の割合は20年前の約3割から2012年には5割超にまで上昇しており、今後10年で5割超の経営者が事業承継のタイミングを迎えると考えられています。イラスト

全国385万社、従業者数は3,216万人を占める中小企業・小規模事業者は、地域経済の活力の維持や雇用の確保等に資するものであり、事業の継続・発展を通じた事業承継を円滑に行っていくことは、極めて重要な政策課題といえます。

これまで、中小企業における経営の承継の円滑化に関する法律(以下、「経営承継法」)の制定、非上場株式等についての相続税・贈与税の納税猶予制度(以下「事業承継税制」)の創設など、事業承継の円滑化を支援する様々な措置が講じられてきました。このうち、経営承継円滑化法では、「施行後5年を経過した段階(平成25年10月(一部は平成26年3月))で、経営承継円滑化法の施行状況について検討を加え、必要があるときは所要の措置を講ずること」とされています。このため、現在、国は中小企業・小規模事業者の事業承継に関する問題について、総合的な検討を行っています。

今回は多くの中小企業・小規模事業者で避けては通れない「事業承継」について、その現状と中小企業・小規模事業者向けの事業承継の支援策について見ていきます。


1.事業承継の現状

事業承継の話の前に、まず我が国の経営者の高齢化の現状について見ることにします。

下図は、自営業主の年齢別の推移を示したものです。


<図表1:年齢階級別自営業主の推移>

図

(出典:総務省「労働力調査」)


この図によると、1982年では、30-40歳代の自営業主が分厚く存在していたことが分かります。しかし、年を追うごとに高齢の者が占める割合が高まってきており、2012年には、60-64歳が全体に占める割合が最も高い年齢層となっており、70歳以上の年齢層が占める割合は、過去と比較しても最も高くなっています。

年齢別の推移の傾向を見ると、他の年が40-54歳をボリュームゾーンとする台形型もしくは山型であるのに対し、2012年は右肩上がりの線となっています。70歳以上の自営業主が75万人もいる中で、事業承継もしくは廃業を今から考えていくことは待ったなしのところまで来ています。


こうした中、中小企業・小規模事業者の事業継続の意思については、「事業を何らかの形で他者に引継ぎたい」と考えている者が、中規模企業では約6割存在していますが、小規模事業者では約4割にとどまっています。また、小規模事業者では、「自分の代で廃業することもやむを得ない」と考えている者が約2割も存在しています。

先のことを考えると、将来の事業低迷が予測され、事業承継に消極的な方や、後継者を探したが、適当な人が見つからないケースもあるでしょう。事業承継の問題としては、後継者不足がよく挙げられますが、実際には事業の将来に明るい見通しを持てなかったことも事業承継を断念した大きな要因となっています。


では、そもそも「事業承継」とはどのようなことでしょうか。事業承継とは、一言でいえば、経営を後継者に引き継ぐことをいいます。

事業承継は、引き継ぐ相手によって、親族内承継、従業員等への承継、M&Aの3つ方法があります。下表により各承継方法のメリット・デメリットを把握するとともに、後継者候補等の関係者との意思疎通を十分に行い、承継方法と具体的な後継者を確定することが必要となります。

事業承継の方法については、20年以上前には9割以上を占めていた親族内承継の比率が年々低下しており、従業員等への承継やM&A等の親族外承継の割合が増加し、近年全体の4割程度の水準に達しています。

<図表2:事業承継の方法>

図

2014年版中小企業白書によると、50歳代を過ぎると、事業承継を10年以内の経営課題として捉える経営者が急増してきますが、その一方で、事業承継を3年より先のことと考えている経営者が60歳代で約8割、70歳代で約6割、80歳代でも5割超存在していると指摘されています。また、事業承継の準備を「あまりしていない」、「全くしていない」、「準備の必要を感じない」と回答した経営者が、60歳代では約6割、70歳代で約5割、80歳代でも約4割存在していることも示されています。

このように、我が国の経営者の多くを占めており、かつ、遠からず引退していくと予想される高齢経営者には、事業承継をまだまだ先のことと考えている者が多く、また、そのための準備も十分に行っていない者が相当な割合で存在しているといえます。

次に、中小企業・小規模事業者の事業承継を支援する施策について触れたいと思います。

2.事業承継の支援施策

事業承継に際しては、後継者の確保・育成や、後継者とのバトンタッチ後のスムーズな事業展開など多くの課題が存在しています。こうした課題を中小企業・小規模事業者が乗り越えていくために、国は支援策を講じています。

以下では、主な事業承継に関する国の支援施策の概要を見ていきます。



(1) 経営承継法による事業承継円滑化に向けた総合的支援

冒頭で見たように、平成20年に経営承継法が施行されました。

経営承継法は、@遺留分に関する民法の特例、A事業承継時の金融支援措置、B事業承継税制の基本的枠組みを盛り込んだ事業承継円滑化に向けた総合的支援策の基礎となる法律です。

1) 遺留分に関する民法特例

この特例では、一定の要件を満たす後継者が、遺留分権利者全員との合意及び所要の手続(経済産業大臣の確認、家庭裁判所の許可)を経ることで、生前贈与された自社株式を遺留分算定基礎財産から除外することができるというものです。また、生前贈与された自社株式を遺留分算定基礎財産に算入する際の評価額を予め固定することもできます。

遺留分というのは、配偶者や子などに民法上保障される最低限の資産承継の権利のことをいいます。後継者への生前贈与により、非後継者が実際に得られた相続財産が遺留分に足りない場合に、後継者が、非後継者からその足りない遺留分を取り戻すための請求(遺留分減殺(げんさい)請求権)を受けるおそれがあります。

事業承継に際しては、事業用資産を後継者になるべく集中させることが望ましいのですが、実際には円滑に進まないケースも多く見られます。親族内承継において、生前贈与や遺言を作成することなどで、ある程度資産を集中させることも可能ですが、遺留分制度による制約が障害となるケースも多くなっています。このため、経営承継法で遺留分に関する民法特例が設けられました。

2) 金融支援

これは事業承継に伴う多額の資金ニーズ、たとえば自社株式や事業用資産の買取資金、相続税納税資金等や信用力低下による取引・資金調達等への支障が生じている場合に、経済産業大臣から経営承継法の認定を受けることで、@信用保険の別枠化による信用保証の枠の拡大、A株式会社日本政策金融公庫等による代表者個人に対する貸付を利用できるというものです。代表者個人に対する貸付については、親族に限らず、親族外の役員や従業員が事業を承継するために自社株式や事業用資産を買い取る場合にも利用することが可能です。

3) 事業承継税制

事業承継税制とは、中小企業の後継者が、現経営者から会社の株式を承継する際の、相続税・贈与税等が軽減される制度です。平成25年度税制改正で事業承継税制(非上場株式の相続税・贈与税の納税猶予制度)が拡充され、さらに利用しやすい制度となりました。


(2) 中小企業大学校の研修

これは、全国9カ所に設置されている中小企業大学校等で、中小企業の経営者・管理者等に対する高度で専門的な研修を実施しているというものです。研修コースには、次代の経営者を目指す後継者を対象に、必要な基本的知識や能力を実践的に習得できる経営後継者研修等があります。


(3) 事業引継ぎ支援センター・相談窓口

後継者不在などで事業の存続に悩みを抱える中小企業の相談に対応する「事業引継ぎ相談窓口」が全国47都道府県に設置されています。また、特に事業引継ぎ支援の需要が多い全国15箇所に「事業引継ぎ支援センター」が設置され、窓口相談やセンターで受けた相談に対し、専門家による具体的な支援が行われています。



上記の施策以外にも、事業承継の準備段階に応じた施策や、業種・目指す事業展開の内容によって、さまざまな施策が利用できます。上記の施策の詳しい内容、その他利用可能なものを知りたい場合は、お近くの商工会に相談すると良いでしょう。



経営者も人間ですから、面倒くさいことやあまり考えたくないことに目を背けることもあるでしょう。事業承継ではありませんが、私自身、前の商売をたたむ時に、「誰か代わりにやってもらえないかな」等と考えたものです。

国の事業承継対策支援は、経営承継法による事業承継円滑化に向けた総合的支援のように、企業価値の高い会社や大きく利益を上げて企業を支援することがメインとなっているため、小規模事業者にはそれほど利用価値の高いものとはいえないかもしれません。通常の小規模事業者にとって、利用しやすい施策が分かりやすいカタチで出てくることに期待したいです。たとえば、承継前の化粧直し、またはリフォームのような施策や、承継後に承継前の経営者が指導的な立場で係わる場合の助成金や税制の措置なども良いかもしれません。

事業承継をきっかけに、企業がRe-BORN(生まれ変わった、再生した)するんだといった前向きな姿勢で事業に取り組むことが必要です。そのために支援として、承継自体もそうですが、承継後の経営支援も重要になってくると思います。

END
スペース スペース
平成23年度版施策知識分野別施策利用情報

分野別施策利用END

スペース
商工会 100万会員ネットワークEND
バックナンバー一覧ページTOP
バックナンバー