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あきない知っ得情報TOP=施策バックナンバー一覧=14年8月「「経営者保証に関するガイドライン」の利用促進」

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今月の施策

今年から始まった「経営者保証に関するガイドライン(以下「ガイドライン」)」の適用開始から6カ月を迎えようとしています。イラスト

企業が金融機関等から融資を受ける時に、経営者や家族・親族など個人が返済を保証するなど、多くの金融機関で個人保証を取っているのが一般的です。個人保証には経営者に一定の秩序を与えることや信用補完として資金調達の円滑化に寄与する面がある一方、経営者による思い切った事業展開や、早期の事業再生等を阻害する要因となっているなど、保証契約時・履行時等において様々な課題が存在します。

これらの課題を解消し中小企業の活力を引き出すため、中小企業、経営者、金融機関共通の自主的なルールとして本ガイドラインが策定されました。

今回は、この「経営者保証に関するガイドライン」に関する内容について見ていきたいと思います。


1.個人保証の現状

私自身、過去、経営者として金融機関からの借入の際に、個人保証(経営者保証)をしたことがありますが、個人的なリスクを背負うことはなかなか精神的に疲れる思いをします。それと同時に、経営者というのは経営者保証ができるぐらいの勇気を持っていないといけない存在なんだとも考えさせられました。

イラスト昔の創業者は、背水の陣を引いて、大きな挑戦をすることも多かったかもしれませんが、最近の創業者は自己資金のみで創業する少額創業を行う方が多くなっています。これは、失敗しても自己資金の範囲内で収まるように考える創業者が増えたことも理由の一つとしてあげられるのでしょう。優れた事業アイデアがあっても、勇気がないため、創業をあきらめる人も結構いるではないでしょうか。

このように、経営者保証が石橋を叩いて渡るではありませんが、自身の責任の範囲内のビジネスサイズにしようと、経営者に目に見えぬ形で作用していることが考えられるのと同時に、経営者の規律づけにもなっていることから、果たしてどちらがいいのか、わからなくなります。

ただ、貸し手の心理としては、経営者保証という「人質」をとることによって、心理的なプレッシャーを経営者に与えることができ、より安心に貸すことができるのでしょう。



<図表1:個人(経営者)保証のしくみ>

図

以上のことから総合的に考えると、個人保証は一定の有用性をもったツールであり、中小企業の資金調達の円滑化、調達コストの低減等に寄与しているものと思われます。

中小企業庁が平成24年度に実施したアンケート調査において、金融機関から借り入れを行った中小企業のうち、86.7%の経営者が借り入れの際に個人保証の提供を行っていることがわかっています。このことから、個人保証は中小企業金融における融資慣行として定着しており、また、個人保証は、貸し手の融資判断や、融資金額、金利の設定等にも密接に関係しているとされています。

2.「経営者保証に関するガイドライン」の利用促進

では、そろそろ本題に入ります。まず、「経営者保証に関するガイドライン」の利用促進という内容を見ていきたいと思います。

「経営者保証に関するガイドライン」というのは、個人保証なしで借入れを実現したり、生活基盤を残しながら個人保証を整理したりするためのガイドラインのことです。

ガイドラインでは、経営者の個人保証について、@法人と個人が明確に分離されている場合などに、経営者の個人保証を求めないこと、A多額の個人保証を行っていても、早期に事業再生や廃業を決断した際に一定の生活費等(従来の自由財産99万円に加え、年齢等に応じて100万円〜360万円)を残すことや、「華美でない」自宅に住み続けられることなどを検討すること、B保証債務の履行時に返済しきれない債務残額は原則として免除すること、などを定めることにより、経営者保証の弊害を解消し、経営者による思い切った事業展開や、早期事業再生等を応援しています。第三者保証人についても、今お話ししたA、Bについては経営者本人と同様の取扱としています。

また、このガイドラインの利用促進を図るため、経済産業省では、中小機構・地域本部等で経営者保証に関する相談を受け付けるとともに、ガイドラインの利用を希望する方へ専門家を派遣する制度等を設けています。また政府系金融機関でも経営者保証を求めない資金繰り支援を強化しています。次にそれらの内容を見ていきます。

3.「経営者保証に関するガイドライン」の利用促進に関する支援施策

ガイドラインに沿った支援施策は次のとおりです。

<図表2:「経営者保証に関するガイドライン」の利用促進策>

図
(1) 専門家派遣制度

まず、専門家派遣制度です。これは、ガイドラインの利用を希望する方に、中小機構・地域本部、商工会・商工会議所、認定支援機関等が、経営保証に関する問い合わせ、窓口相談に応じるとともに、必要に応じて中小機構から適切なアドバイスが可能な専門家を派遣しアドバイスするというものです。

対象は、@経営者保証を提供せずに資金調達を希望する方、A中小企業の経営者の方で、会社の事業再生や事業清算に伴って、個人保証債務の整理について悩みを持っている方です。


(2) 経営者保証を不要とする融資制度(中小企業事業)

次に、日本政策金融公庫中小企業事業が行う経営者保証を不要とする融資制度です。これは、経営責任者の方の保証を免除又は猶予する特例制度です。

対象は、中小企業の経営内容に応じて、経営面や財務面についての約束、これを財務制限条項と言いますが、これを締結できる方です。財務制限条項とは、債務者の財務上の一定の指標について遵守すべき数値を定めたものです。例えば、自己資本比率は何%以上とするとか、2期連続して赤字は不可とか、債務超過が2期連続は不可等です。なお、財務制限条項に抵触した場合、繰上償還を求められる場合があります。

では、内容ですが、この特例には2種類あります。まず、保証人免除特例ですが、これは個人保証を免除するというものです。貸付限度額は、各貸付制度で定められた限度額で、貸付利率は、各貸付制度で定められた利率に、上乗せ無しからプラス0.4%までの間の利率を加算したものとなっています。貸付期間は各貸付制度ごとに定められた期間となります。

次に、保証人猶予特例ですが、定期的な業況報告等一定の約束を守ることを条件に個人保証を免除するというものです。ただし、特約に違反した場合に限り個人保証が発生します。この特例による貸付限度額は、各貸付制度で定められた限度額で、貸付利率は、各貸付制度で定められた利率に、上乗せ無しからプラス0.1%までの間の利率を加算したものとなっています。貸付期間は貸付制度ごとに定められた期間となります。

なお、いずれの特例も過去に融資を受け残高を有する方についても利用可能となっています。


(3) 経営者保証を不要とする融資制度(国民生活事業)

次に、日本政策金融公庫国民生活事業が行う経営者保証を不要とする融資制度です。これは、経営責任者の方の保証を免除する特例制度です。

対象は、@公庫との事業資金取引が3年以上あり、直近3年間、返済の延滞がないこと、A法人と経営者個人の資産・経理の明確な分離等について外部専門家の確認を受けていること、B法人のみの資産・収益力で借入金の返済が可能と判断できること、C中小会計を適用していること、D財務制限条項を含む特約を締結すること、等の要件を満たす方です。

では、内容ですが、貸付限度額は、各貸付制度で定められた限度額で、貸付利率は、各貸付制度で定められた利率に、0.3%上乗せした利率、貸付期間は貸付制度ごとに定められた期間となります。

なお、この特例も過去に融資を受け残高を有する方についても利用可能となっています。


(4) 経営者保証を不要とする保証制度(信用保証協会)

最後に、信用保証協会の経営者保証を不要とする保証制度です。

この制度は、中小企業者の方であって、@法人と経営者個人の資産・経理が明確に分離されていること、A法人と経営者の間の資金のやりとりが、社会通念上適切な範囲を超えないこと、B法人から適時適切に財務情報等を提供すること(期中も同様)、C法人のみの資産・収益力で借入返済が可能と判断し得ること(財務要件等あり)、の要件を全て満たす方が対象となります。

内容は、保証限度額が普通保証2億円以内、無担保保証8,000万円以内、保証割合は責任共有保証(80%保証)、保証期間は1年以内の一括弁済か、運転資金3年、設備資金5年(据置期間はそれぞれ6ヶ月以内)の分割弁済で、保証料率は0.45〜1.90%となっています。なお、本保証制度による保証付き融資とは別に、無保証人のプロパー融資を、保証付き融資の6割以上の割合で実行されていることが必要です。



以上、ガイドライン沿った支援施策を見てきましたが、ポイントになるのは4番目の「経営者保証を不要とする保証制度」ではないかと思います。

理由は、専門家派遣事業はさておき、日本政策金融公庫の融資の特例措置は以前からあったもので、今回新しく創設されたのが、4番だからです。ではなぜ創設されたのか、それは、平成19年10月から始まった責任共有制度をもっと推し進めるためだからだと思っています。責任共有制度が始まった翌年にリーマンショックが起こり、それ以降、(景気対応)緊急保証(=セーフティネット保証制度5号)が全業種対応になったため、責任共有制度が棚上げされたような状況になりました。これを引き戻すためにも今回のガイドラインはよい機会になったのではないでしょうか。

END
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