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あきない知っ得情報TOP=施策バックナンバー一覧=14年7月「消費税の転嫁状況」

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今月の施策

消費税率の8%への引上げが始まって、3カ月近くが経ちます。この間、ニュースで消費増税が取り上げられることはありましたが、さほど大きな問題として取り沙汰されることはなかった気がします。果たして、そうでしょうか。イラスト

経済産業省では4月からの消費税率引上げを踏まえ、消費税の転嫁状況を定期的にモニタリングするため、4月から転嫁状況に関する事業者への月次のアンケート調査を実施しています。このうち、「5月WEB調査」の調査結果がまとめられ、5月30日に公表されました。

今回は、この調査結果を基に、消費税の転嫁状況について見ていきたいと思います。


1.消費税の転嫁

以前、このコラムで取り上げましたが、消費税率引上げに際し、消費税を円滑かつ適正に転嫁(消費税分を上乗せすること)できるよう、「消費税転嫁対策特別措置法」という法律が施行されました。

消費税の転嫁というのは、簡単に言えば、「消費税の増税分を上乗せする」ことです。たとえば、4月以前は100円の商品は税込みで105円でしたが、4月以降はそれが108円になりました。今まで105円で売っていたものに、3円をプラスして売れれば、「転嫁できた」ということになり、問題は無いわけです。

しかし、実際には消費税の増税分を上乗せすることができないという事態が発生するのです。 たとえば、買い手からすれば、上記の「3円のプラス」の中身が値上げであろうと、税金であろうと、値段が高くなることに変わりはありません。消費税が増税されたことによって、その分買い手の購買意欲が下がることになり、小売店などの事業者は消費増税によって売上が減少する可能性が出てきます。また、買い手からの値下げの要求があることも考えられます。

そこで、消費税の転嫁状況について、国が定期的な監視・取締りを行い、転嫁拒否の未然防止、違反行為への指導など迅速な是正を行うことが重要となります。


次に、消費税の転嫁について、課税事業者・免税事業者に分けて消費税の転嫁のあり方を見ておきたいと思います。

まず、課税事業者ですが、消費税が課税されると事業者は、下記左の図の「A+B」の値上げを行います。この場合、納税者として事業者は「A」の納税を行います。「B」については、仕入価格が高くなるという形で負担済となっています。

これに対し、免税事業者、つまり前々年(個人)または前々事業年度(法人)の課税売上高が1,000万円以下の事業者は「A」の納税を行う必要はありません。しかし、仕入価格が高くなるという形で「B」を負担しているので、その分の値上げを行う必要があります。免税事業者が「B」を超えて「A」の全部または一部に相当する転嫁を行う場合にのみ、いわゆる「益税(=消費者が払った消費税が国庫に納入されることなく、事業者の利益となること)」の問題が生ずることになります。

<図表1:消費税の転嫁>

図

消費税の転嫁は、事業者にとって死活問題に発展することにもなりかねません。うまく転嫁できたのか、どうなのかをモニタリングすることによって、国等が速やかに対策を講じることが必要です。

では次に、「消費税の転嫁状況に関する月次モニタリング調査(5月WEB調査)」の概要を見ていきましょう。

2.調査結果概要

「消費税の転嫁状況に関する月次モニタリング調査」は、「事業者間取引(B to B)」と「消費者向け取引(B to C)」に分けて調査結果が出ています。ここでも分けて見ていきます。


(1) 事業者間取引(B to B)

消費税率の引上げに関する価格転嫁の状況については、81.9%(前月比:+2.5%)の事業者が「全て転嫁できている」と回答しています。他方、「全く転嫁できていない」と回答した事業者は 3.1%(前月比:▲0.6%)ですが、従業員規模別に見ると従業員数が5人以下の事業者では4.6%となっています。

業種別に見ると、「全て転嫁できている」と回答した事業者の割合が、卸売業が最も大きく 87.1%。次いで、製造業が 85.7%、運輸業(郵便業を含む)が 83.7%という結果になっています。

<図表2:業種別価格転嫁の状況(事業者間取引)>

図

調査では「価格転嫁ができた理由」も訊いていますが、価格転嫁の状況について「全て転嫁できている」とした事業者の回答で最も多かった理由が、「以前より消費税への理解が定着しているため」(67.5%)で、それに「本体価格と消費税額を分けることにより交渉しやすくなったため」(26.9%)、「転嫁特措法等により規制が強化されたため」(12.6%)が続いています。

逆に、「価格転嫁ができていない理由」としては、59.4%の事業者が「競争が激しく価格引き上げによって他社に取引を奪われるおそれがあるため」と回答しています。次いで、「取引先の業界の景気が悪く値上げを受け入れる余裕がなかったため」が 24.1%、「取引先との力関係で立場が弱かったため」が 20.3%、となっています。

また、実際に転嫁拒否行為を受けたと回答した58社の事業者のうち、「減額」と回答した事業者が最も多く53.4%、次いで「本体価格での交渉拒否」が37.9%となっています。


(2) 消費者向け取引(B to C)

消費税率の引上げに関する価格転嫁の状況については、75.0%(前月比:+2.9%)の事業者が「全て転嫁できている」と回答しています。他方、「全く転嫁できていない」と回答した事業者は3.2%(前月比:▲0.5%)ですが、従業員規模別に見ると従業員数が5人以下の事業者では6.1%となっています。

業種別に見ると、事業者間取引と同様に、価格転嫁について、「全て転嫁できている」と回答した事業者の割合が、卸売業が最も大きく80.7%。製造業が76.3%、次いで、建設業が74.9%、という結果になっています。

また、事業者間取引と比較して、「その他(経営戦略上、転嫁しなかった場合など)」の割合が大きくなっています。

<図表3:業種別価格転嫁の状況(消費者向け取引)>

図

消費者向け取引での「価格転嫁ができた理由」としては、56.8%の事業者が「消費者において消費税率引上げの意義等に対する理解が浸透したため」と回答。次いで、「本体価格と消費税額を分けることにより値上げへの反発が和らいだため」が 35.8%となりました。

逆に、「価格転嫁ができていない理由」としては、65.9%の事業者が「競争が激しく価格引き上げによって他社商品に乗り換えられてしまうおそれがあるため」と回答。次いで、「景気が回復しておらず消費者の財布のひもが固いため」が 31.1%となっています。



同時期に公表された、「中小企業家同友会全国協議会」の消費増税の影響に関する調査(速報値)を見ると、64%の企業に増税の影響が出ており、価格転嫁できない企業も4割あり、前年比で4割の企業で売上減、流通業では5割で売上減という厳しい結果が出ています。

全体的に考えると、消費増税は多くの事業者にとって、向かい風になっています。この風を乗り越えるためには、事業者を取り巻く適正なルールが定着し、なおかつ個々の事業者の経営努力が求められます。特に、価格については「差別化」の可能性について、検討すべきです。なぜならば、「差別化」というのは、価格以外で競合他社と戦うことだからです。

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