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あきない知っ得情報TOP=施策バックナンバー一覧=13年12月「消費増税に向けた事業者の対策A」

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今月の施策

消費増税に伴い、多くの事業者の方が関心を寄せているのは、ビジネスが具体的にどう変わっていくのかということだと思います。特に、「取引先から消費税分を負けてくれといわれないか」といった不安の声もあちこちで聞こえています。

このため、国では事業者間できちんと消費税が転嫁されているか、特定事業者(買い手)による消費税の転嫁拒否等の行為を禁止する「消費税転嫁対策特別措置法」を制定し、平成25年10月1日からこの法律がスタートしました。消費税転嫁対策は、「消費税転嫁対策特別措置法」の終期である平成29年3月31日まで続けられます。

前回見たとおり、「消費税転嫁対策特別措置法」には、4つのポイントがありますが、4回に分けてそれぞれの内容を見ていきたいと思います。今回は1つ目のポイントである「消費税の転嫁拒否等の禁止」という内容です。

1.消費税の転嫁拒否に関する法律用語

まず、初歩的なお話ですが、「転嫁」というのはどういうことでしょうか。嫁を転がすというと、なんだか訳のわからないように感じてしまいますが、ここでいう「嫁」は、「とつがせる(嫁がせる)」いう意味で、「転」には「別に移る」といった意味合いがあります。つまり、「転嫁」というのは、「自分以外の他のところに行かせる」といったことになります。

「消費税の転嫁」という場合、「消費税分の金額を他の事業者に負わせる」ということなります。他に押しつけるということでは、「しわ寄せ」に近いものがありますが、弱者に「しわ寄せ」が来るのは、世の常とまでは言いませんが、よくあることです。


「消費税転嫁対策特別措置法」も簡単に言えば、取引関係等で立場の弱い中小企業・小規模事業者が消費増税に伴う「しわ寄せ」によって不利益を受けないようにするために作られた法律です。4つのポイントのうちの1つ目のポイントである「消費税の転嫁拒否等の禁止」というのは、消費税の転嫁拒否等の行為を取締り、当該行為を是正または防止するために必要な法制上の措置のことを言います。

最初に、法律上の定義や用語について見ていきます。



(1) 法律の対象となる事業者

対象となる事業者は、次のとおりです。

@特定事業者=「転嫁拒否等をする側」、「買い手」

これはまず、売上高100億円以上、または店舗面積3,000u以上(東京都特別区および政令指定都市の場合。その他の市町村においては、店舗面積が1,500u以上)の大規模小売事業者です。また、一般消費者が日常使用する商品の小売業を行う大手スーパー、コンビニなども含まれます。

次に、資本金の額または出資の総額が3億円以下の事業者や個人事業者等と継続して商品などの取引をしている事業者です。ここでいう「継続して」というのは、事業者間に継続的な取引関係がある場合を指します。個別の商品ごとに継続的な取引関係がある状態を指すものではありません。また、これまで取引したことのない相手方から商品を1回限りの取引で購入する場合などは、「継続して」に該当しません。

図表1:法律の対象となる事業者

図表

(出所:公正取引委員会「消費税転嫁・表示カルテルの制度の概要」)

A特定供給事業者=「転嫁拒否等をされる側」、「売り手」

特定事業者(買い手)が大規模小売事業者の場合、特定供給事業者(売り手)は、継続的に商品や役務を供給する事業者のことをいいます。資本金の額等の大小は関係ありません。

次に、特定事業者(買い手)が大規模小売事業者以外の法人である事業者の場合、特定供給事業者(売り手)は、継続的に商品や役務を供給する事業者で、資本金の額等が3億円以下の事業者や個人事業者、人格のない社団等が該当します。

2.どのようなことが禁止されるのか?

特定事業者(買い手)は、特定供給事業者(売り手)に対する減額や買いたたき、報復行為等が禁止されています。

図表2:特定事業者の遵守事項

図表

(出所:公正取引委員会「消費税転嫁・表示カルテルの制度の概要」)

具体的には、特定事業者(買い手)が行うことを禁止される行為とは、次の事柄をいいます。


(1) 消費税の転嫁拒否等の禁止
@減額、買いたたき

「減額」というのは、特定事業者(買い手)が、特定供給事業者(売り手)から供給を受ける商品または役務について、「合理的な理由」なく既に取り決められた対価から事後的に減じて支払うことをいいます。


【問題となる具体例】
  • 対価から消費税率引上げ分の全部または一部を減じる場合。
  • 既に支払った消費税率引上げ分の全部または一部を次に支払うべき対価から減じる場合。
  • 本体価格に消費税額分を上乗せした額を商品の対価とする旨契約していたにもかかわらず、対価を支払う際に、消費税率引上げ分の全部または一部を対価から減じる場合。
  • リベートを増額するまたは新たに提供するよう要請し、当該リベートとして消費税率引上げ分の全部または一部を対価から減じる場合。
  • 消費税率引上げ分を上乗せした結果、計算上生じる端数を対価から一方的に切り捨てて支払う場合。

逆に、減額とならない「合理的な理由」がある場合としては、例えば次のような場合が該当します。

【減額とならない例】
  • 商品に瑕疵がある場合や、納期に遅れた場合等、特定供給事業者(売り手)の責めに帰すべき理由により、相当と認められる金額の範囲内で対価の額を減じる場合。
  • 一定期間内に一定数量を超えた発注を達成した場合には、特定供給事業者(売り手)が特定事業者(買い手)に対して、発注増加分によるコスト削減効果を反映したリベートを支払う旨の取決めが従来から存在し、当該取決めに基づいて、取り決められた対価の額から事後的にリベート分の額を減じる場合。

次に、「買いたたき」ですが、これは特定事業者(買い手)が特定供給事業者(売り手)から供給を受ける商品または役務の対価について、「合理的な理由」なく通常支払われる対価よりも低く定める行為のことをいいます。

【問題となる具体例】
  • 対価を一律に一定比率で引き下げて、消費税率引上げ前の対価に消費税率引上げ分を上乗せした額よりも低い対価を定める場合。
  • 原材料費の低減等の状況の変化がない中で、消費税率引上げ前の対価に消費税率引上げ分を上乗せした額よりも低い対価を定める場合。
  • 安売りセールを実施することを理由に、大量発注などによる特定供給事業者のコスト削減効果などの合理的理由がないにもかかわらず、取引先に対して値引きを要求し、消費税率引上げ前の対価に消費税率引上げ分を上乗せした額よりも低い対価を定める場合。
  • 免税事業者である取引先に対し、免税事業者であることを理由に、消費税率引上げ前の対価に消費税率引上げ分を上乗せした額よりも低い対価を定める場合。
  • 消費税率が2段階で引き上げられることから、2回目の引上げ時に消費税率引上げ分の全てを受け入れることとし、1回目の引上げ時においては、消費税率引上げ前の対価に消費税率引上げ分を上乗せした額よりも低い対価を定める場合。

逆に、買いたたきとはならない「合理的な理由」があるものとしては、次のような場合が該当します。

【買いたたきとならない例】
  • 原材料価格等が客観的にみて下落しており、当事者間の自由な価格交渉の結果、当該原材料価格等の下落を対価に反映させる場合。
  • 特定事業者(買い手)からの大量発注、特定事業者(買い手)と特定供給事業者(売り手)による商品の共同配送、原材料の共同購入等により、特定供給事業者(売り手)にも客観的にコスト削減効果が生じており、当事者間の自由な価格交渉の結果、当該コスト削減効果を対価に反映させる場合。

A商品購入、役務利用または利益提供の要請

商品購入、役務利用または利益提供の要請とは、特定事業者(買い手)が特定供給事業者(売り手)から供給を受ける商品または役務について、消費税率引上げ分の全部または一部を上乗せする代わりに、特定供給事業者(売り手)に商品を購入させ、役務を利用させまたは経済上の利益を提供させる行為のことをいいます。

【問題となる商品購入、役務利用の要請の具体例】
  • 消費税率引上げ分の全部または一部を上乗せすることを受け入れる代わりに、取引先にディナーショーのチケットの購入、自社の宿泊施設の利用等を要請する場合。
  • 消費税率引上げ分の全部または一部を上乗せすることを受け入れる代わりに、本体価格の引下げに応じなかった取引先に対し、毎年定期的に一定金額分を購入してきた商品の購入金額を増やすよう要請する場合。
  • 自社の指定する商品を購入しなければ、消費税率引上げに伴う対価の引上げに当たって不利な取扱いをする旨を示唆する場合
【問題となる利益提供の要請の具体例】
  • 消費税率引上げ分の全部または一部を上乗せすることを受け入れる代わりに、消費税の転嫁の程度に応じて、取引先ごとに目標金額を定め、協賛金を要請する場合。
  • 消費税率引上げ分の全部または一部を上乗せすることを受け入れる代わりに、通常必要となる費用を負担することなく、取引先に対し、従業員等の派遣または増員を要請する場合。
  • 消費税率の引上げに伴う価格改定や、外税方式への価格表示の変更等に係る値札付け替え等のために、取引先に対し、従業員等の派遣を要請する場合。

B本体価格(税抜価格)での交渉の拒否

本体価格(税抜価格)での交渉の拒否とは、商品または役務の供給の対価に係る交渉において消費税を含まない価格を用いる旨の特定供給事業者(売り手)からの申出を拒むことをいいます。特定事業者(売り手)が明示的に拒む場合が該当することはいうまでもありませんが、例えば、次のとおり、特定供給事業者(売り手)が本体価格で価格交渉を行うことを困難にさせる場合も該当します。

【問題となる具体例】
  • 特定供給事業者(売り手)が本体価格と消費税額を別々に記載した見積書等を提出したため、特定事業者(買い手)がそれを拒み、本体価格に消費税額を加えた総額のみを記載した見積書等を再度提出させる場合。
  • 特定事業者(買い手)が、本体価格に消費税額を加えた総額しか記載できない見積書等の様式を定め、特定供給事業者(売り手)にその様式の使用を余儀なくさせる場合。

(2) 取引を停止する等の報復行為の禁止

報復行為とは、特定供給事業者(売り手)が公正取引委員会等に対して、転嫁拒否等の行為に該当する事実を知らせたことを理由として、取引数量の削減や取引停止、その他の不利益な取扱いをすることをいいます。

「転嫁拒否をされても仕返しが怖くて、なかなか相談できない」といった声もある中、転嫁拒否等の被害を受けた中小企業等が、その事実を自ら公正取引委員会等に申し出ることは期待しにくいという実態があります。

特定事業者(買い手)による報復行為が行われた場合、特定供給事業者(売り手)による情報提供や調査協力が一層困難となることで、「消費税転嫁対策特別措置法」の円滑な執行に支障を来すことになりかねません。

政府としては、国等に通報していただいた方々の保護等に万全の措置を講じるとともに、報復行為に該当する行為があると認める場合、厳正に対処することとしています。

3.転嫁拒否等の行為に対する検査、指導等

転嫁拒否等の行為に対しては、公正取引委員会・中小企業庁・主務大臣による検査・指導等が行われます。違反行為に対しては。「転嫁を拒否した消費税額分を支払う」といった是正のための指導・助言を行います。悪質な事例については、「社名の公表」などの厳しい措置で臨みます。

検査、指導等の流れは、次のとおりです。


外枠

(1) 報告・検査(公正取引委員会、中小企業庁、主務大臣)

特定事業者(買い手)等に対して報告徴収、立入検査を行います。

矢印 外枠

(2) 指導・助言(公正取引委員会、中小企業庁、主務大臣)

特定事業者(買い手)に対して、違反行為を防止または是正するために必要な指導・助言を行います。指導内容の例としては、@転嫁を拒否した消費税額分を支払うこと、A遡及的に消費税率引上げ分を対価に反映させること、B転嫁と引き換えに購入させた商品を引き取り、商品の代金を返還すること、C役務の利用料または提供を受けた利益を返還すること、D消費税を含まない価格で価格交渉を行うこと、等があります。

矢印 外枠

(3) 措置請求(中小企業庁、主務大臣)

違反行為があると認められるときは、公正取引委員会に対して、適当な措置(勧告・公表)をとることを求めることができます。ただし、@違反行為が多数に対して行われている場合、A違反行為による不利益の程度が大きい場合、B違反行為を繰り返し行う蓋然性が高い場合、その他C消費税の円滑かつ適正な転嫁を阻害する重大な事実がある場合には措置請求を行うものとしています(報復行為については、Cに該当)。

矢印 外枠

(4) 勧告・公表(公正取引委員会)

違反行為があると認められるときは、特定事業者(買い手)に対して、速やかに消費税の適正な転嫁に応じること、その他必要な措置をとるよう勧告し、その旨を公表します。

矢印

図表3:消費税の転嫁拒否等の行為に対する処理スキーム

図表

(出所:公正取引委員会「消費税転嫁・表示カルテルの制度の概要」)

実際の相談については、@政府共通の相談窓口として、内閣府消費税価格転嫁等総合相談センターが設置されていますので、そちらでの相談、またはA経済産業省・中小企業庁の相談窓口として、経済産業省、中小企業庁および各地域経済産業局では消費税転嫁対策室を設置していますので、そちらでも相談に応じています。


(参考URL)
■内閣府消費税価格転嫁等総合相談センター
    http://www.tenkasoudan.go.jp
■「消費税転嫁対策室」を設置しました(中小企業庁HP内)
    http://www.chusho.meti.go.jp/keiei/torihiki/2013/131002shouhizei.htm


また、商工会をはじめとする中小企業団体においても、相談窓口を設置してアドバイスを行っています。身近な相談相手として、商工会を是非ご利用ください。


大規模小売事業者等による転嫁の拒否行為は、外圧として捉え、行為の内容が法律に抵触する場合にはこれを是正することが必要となります。今回の本コラムの内容は、まさしくこのことを見てきたわけです。

しかし、この外圧と同時に考えるべきこととして、事業内容の見直し・再編があります。事業構造自体をよく見て、外部環境に合わせた事業構成をしていくことも必要です。下請けや弱い立場からの積極的な脱却のため、自社の強みを再認識し、時代に合ったビジネスを展開していくことも重要と言えます。

次回は、「消費税に関連した安売り宣伝や広告の禁止」について、見たいと思います。

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