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あきない知っ得情報TOP=施策バックナンバー一覧=13年5月「中小製造業のものづくり」

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不況を乗り切る施策利用のススメ!今月の施策ピックアップ!
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「中小製造業のものづくり」

  わが国の製造業は、下請企業が多く、その割合は半数以上と言われています。その下請企業のほとんどは自社製品を製造していません。つまり、多くの下請企業は他社の製品もしくは部品などを製造しているわけです。
  「市場に打って出る製品がない」「作って欲しいと言われて、作っている」といった状況にある企業は、親企業や取引先の動向や経済状況等に影響されやすいものです。一社に依存した経営スタイルは、大幅な取引減や連鎖倒産などの危険性もはらんでいます。そうならないためにも、新たな販路の開拓や自社製品の開発・製造等が必要となってきます。

今回は、中小製造業の現状や事例、ものづくりに関する新たな補助事業に触れたいと思います。


1.中小製造業の現状

経済産業省「工業統計表」によると、中小製造業の企業数は、2000年(31.0万社)から2009年(21.1万社)まで減少傾向にあり、特に、2009年は、企業数が大幅に減少(▲2.5万社)しています。また、2000年からの企業数の増減率を従業者規模別に見ると、おおむね従業者規模が小さな企業ほど企業数が減少しています。

このうち、従業者数3人以下の事業所も調査対象とした、2000年および2008年の「工業統計表」の中小製造業の経営組織別企業構成から、両年を比較すると、中小製造業では全体における会社企業の割合が上昇(54.7%→60.3%)し、個人企業の割合が低下(45.3%→39.7%)しています。個人企業は、2000年、2008年ともに、ほとんどが従業者数20人以下の小規模企業で構成されていることから、企業数の減少は特に小規模企業で大きくなっています。

このように、中小製造業では、小規模な企業を中心に、多くの企業が廃業するなど、厳しい環境に直面していますが、他方、国内には高い技術力を有する企業も多数存在しています。


中小企業庁委託「技能・技術承継に関するアンケート調査」(2011年12月)によると、中小製造業において、自社の競争優位に寄与している技術を訊ねた調査結果を見ると、「多品種・ロット変動等への適応力」と回答する企業が約4割、「納期短縮を実現する技術」や「難度の高い加工を実現する技術」と回答する企業が3割程度となっています。

また、中小企業の技術競争力の位置付けを、5年前と比較してみると、8割強の企業で、技術競争力が高まっている、あるいは、従来の水準を維持していると回答している一方、2割弱の企業で、技術競争力が低下していると回答しています。このうち、技術競争力が低下していると回答した中小企業に、その理由を尋ねた結果を見ると、「技術・技能承継がうまくいっていない」と回答する企業の割合(69.6%)が特に高く、技術・技能承継が大きな課題となっていることが明らかとなっています。


2.中小製造業の成功事例

上記で見てきたように、中小製造業にとって、まだまだ厳しい環境にあることが伺えますが、そのような中、新たな取組みを行って、活躍している中小製造業も数多く存在しています。

2011年度版の中小企業白書から中小製造業の事例を取り上げてみたいと思います。

事例1:元請企業の倒産を乗り越え、自社独自の製品メーカーへ進化した企業

  奈良県にあるA社(従業員21名、資本金1,000万円)は、仮設足場製品を製造する企業である。
  同社は、1993年に売上の大部分を占める取引先が倒産し、突如大口得意先を失った。また、自社製品製造のための設備投資を行ったところに、売掛債権の焦げ付きが重なった。同社のB社長は、中小企業倒産防止共済の貸付を受けるなどして運転資金を得て、既存の仮設足場の加工により売上を確保しながら、独自に開発した難地盤にも対応できる高性能鋼管杭の製品Cの販路開拓に励んだ。1993年の経験からも一つの取引先に大きく依存すると経営リスクが高まると考え、全国各地を営業して回り、小口の注文にも対応して地道に販路を拡大していった。製品性能の高さもあって、同社の製品の認知度は次第に高まり、取引先も順調に増加して、元請企業の倒産という危機を乗り越えることができた。
  最近では、仮設足場であった製品Cが東海旅客鉄道株式会社のレール基準杭として700キロにわたり採用されるなど、建築業界以外にも取引先を拡大している。さらに、関西大学との共同研究を行うことで、製品Cが様々な工事に採用される機会を拡大することに尽力しており、自社製品メーカーとして安定的な取引構造を実現している。

事例2:研究開発を行い、医療機器分野で新たな事業展開に成功した企業

  兵庫県のD社(従業員20人、資本金5,000万円)は、医療用機器や検査キットを製造する企業である。
  同社は、当初金型製造や成形加工を行っていたが、国内外の競争激化により、将来成長性の低いことから、新たな事業を開始したいと考えていた。社内外からアイディアを募集し、社長直々に事業可能性を検討するなど試行錯誤を繰り返した。その中で、同社の社員の大学時代の恩師から「研究中であるDNA培養技術が高速化されると、人間や家畜の病気特定速度が飛躍的に向上し、早期治療や病気蔓延などを防ぐなど、絶大な効果が期待される。」という話を聞き、情報収集や技術開発に必要なノウハウや人材を探したところ、自社での開発が可能と判断し、事業化にり組むことを決意した。その後、グループ内で新規技術開発に必要な資金を調達し、開発者が製品開発に専念できる環境を整備するとともに、創業以来常に注力してきたものづくりのノウハウを活用して、インフルエンザ等の病原菌ウイルスの超高速遺伝子検査技術を開発した。
  同検査技術は、十数分で病原体ウイルスの特定を可能とし、病気の蔓延を防ぐことが期待されている。同社が実証実験を重ねながら積極的に医療関係者を回ったことで、同検査技術は徐々にその効果が知られるようになり、現在では、大手メーカーや医療機関とも連携して更なる高速化に向けた取組を行っている。


2つの事例は、自社が直面する危機に対応するため、新製品・新技術の開発を果たし、困難を乗り越えた成功事例と言えます。もちろん、新製品等を開発するだけでは、売上が上がるわけではありません。製造業といえども、製品販売には販路開拓や営業活動といったことも必要になります。さらに、受動的な経営ではなく、積極的で能動的な経営姿勢といったことも求められます。


なお、事例で出てきた共済金の貸付を行う「中小企業倒産防止共済制度」や日本政策金融公庫の、関連企業の倒産により経営に困難を来している企業を対象にした「セーフティネット貸付(取引企業倒産対応資金)」、信用保証制度において一般保証との保証限度額の別枠化を行う「セーフティネット保証制度」等は、中小企業の連鎖倒産の防止に役立つ施策です。


3.ものづくり中小企業・小規模事業者試作開発等支援補助金

試作品開発を行っても、それが製品化できるか、売上増につながるかどうかは事前にはわかりません。そのため、いくら技術力等があるといっても、中小製造業が試作品開発や製品・技術開発に二の足を踏むことは当然と言えます。

そういった企業に、役立つ施策が補助金(補助事業)です。補助金は、簡単な表現をとるならば、「頑張るのであれば、国等がその開発費用の一部を面倒見ようじゃないか」というものです。


平成24年度補正予算で、「ものづくり中小企業・小規模事業者試作開発等支援補助金」という補助事業が創設されました。

この補助金について、平成25年3月15日から3月25日まで公募が行われました。4月30日、上記の期間に申請のあった1,836件のうち、742件が補助金の交付先に決定しました(採択率40.4%)。また、平成25年3月26日から4月15日までに申請のあった約10,000件については、現在審査中です(6月頃に次回の募集を行う予定)。

採択率が40.4%で、採択数も多いこの補助金の概要を以下で見ていきましょう。


(1) 事業の内容

この補助事業は、きめ細かく顧客ニーズをとらえる創意工夫に取り組むために、中小企業経営力強化支援法の認定経営革新等支援機関(認定支援機関)等と連携しつつ、ものづくり中小企業・小規模事業者が実施する試作開発や設備投資等を支援するというものです。

この補助金の対象者は、ものづくり中小企業・小規模事業者であり、以下の要件を満たす方です。

@

顧客ニーズにきめ細かく対応した競争力強化を行う事業であること。

A

「中小ものづくり高度化法」22分野の技術を活用した事業であること。

B

認定支援機関に事業計画の実効性等が確認されていること。


競争力強化の形態としては、@小口化・短納期化型(多品種少量生産・短納期化のニーズに対応するものであること)Aワンストップ化型(一貫生産体制の導入等を通じて、幅広いニーズに迅速に対応するものであること)、Bサービス化型(製品以外の付加価値をつけた形での商品提供に係るものであること)、Cニッチ分野特化型(潜在的なニーズがあるニッチ分野に関する対応するものであること)、D生産プロセス強化型(生産性向上により品質を維持することで低コスト化を図るものであること)の類型のいずれかに概ね合致する事業であることが必要となります。

また、「中小ものづくり高度化法」22分野の技術というのは、次のとおりです。

@組込みソフトウェアに係る技術、A金型に係る技術、B冷凍空調に係る技術、C電子部品・デバイスの実装に係る技術、Dプラスチック成形加工に係る技術、E粉末冶金に係る技術、F溶射・蒸着に係る技術、G鍛造に係る技術、H動力伝達に係る技術、I部材の締結に係る技術、J鋳造に係る技術、K金属プレス加工に係る技術、L位置決めに係る技術、M切削加工に係る技術、N繊維加工に係る技術、O高機能化学合成に係る技術、P熱処理に係る技術、Q溶接に係る技術、R塗装に係る技術、Sめっきに係る技術、21発酵に係る技術、22真空に係る技術


対象経費は、原材料費、機械装置費、外注加工費、技術導入費、直接人件費、委託費、知的財産権関連経費、専門家謝金、専門家旅費、運搬費、雑役務費等で、補助上限額は、1,000万円、補助率は2/3となっています。


(2) 事業イメージ

@試作開発

【例】ニッチ分野特化型(溶接等)
  潜在的なニーズがあるにもかかわらず、他社が気づかないまたは市場規模が小さいため参入しない隙間となっているニッチ分野について、町工場の高い技術力と機動力・柔軟性を活かし、試作開発を実施するケース。


A試作開発+テスト販売

【例】サービス化型(精密機械製造))
    単に受注した製品を作るだけでなく、顧客の製品イメージを元に長年培った知恵と経験を活用し、より良い製品を作るための試作開発を行い、積極的に提案するようなケース。


B設備投資

【例】小口化・短納期化型(精密金属加工)
    取引先の“特急で対応して欲しい”といったニーズに応えるため、IT関連の展示会に足を運び、バーコードによる工程・原価管理システムを導入し、製品管理の効率化と納期短縮化を実現する。


この補助事業のポイントは、特定のものづくり基盤技術の事業化に向けた試作開発(テスト販売を含む)や設備投資を支援するだけではなく、それを契機として経営者の意識改革を促し、生産工程やビジネスモデルの再構築にまで踏み込んだ経営改善一体型の支援を行うことにあります。

皆さんも関心があれば、ぜひ申請されてみてはいかがでしょうか。



2010年6月に小惑星探査機「はやぶさ」が、約7年間の宇宙航行を経て、小惑星「イトカワ」の物質を地球に持ち帰るという世界初の快挙を成し遂げました。微粒子を持ち帰ったカプセルの展示会に、全国から50万人を超える来場者が訪れたほか、竹内結子主演の「はやぶさ/HAYABUSA」、渡辺謙主演の「はやぶさ 遥かなる帰還」、藤原竜也主演の「おかえり、はやぶさ」等、複数の映画制作会社が「はやぶさ」プロジェクトの映画化に着手するなど、「はやぶさ」は、社会現象となりました。

「はやぶさ」プロジェクトに関わったのは、宇宙航空研究開発機構(JAXA)のはやぶさプロジェクトチームと、それを支えた民間企業や大学からなるはやぶさプロジェクトサポートチームでしたが、はやぶさプロジェクトサポートチームを構成する118機関のうち、約4分の1は中小製造業が占めていました。

具体的には、探査機の多くの可動部分の部品に用いる潤滑剤の製造や、サンプル採取装置の試作、弾丸射出装置(プロジェクタ)用金属加工部品の製造、探査機の中・高利得アンテナの開発・製造等を中小製造業が行っており、わが国の宇宙開発に多大な貢献をしました。

このように、今後も中小製造業の持つ技術が、わが国の成長の基盤になることが期待されています。




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