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あきない知っ得情報TOP=施策バックナンバー一覧=12年12月「中小企業の海外展開について」

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不況を乗り切る施策利用のススメ!今月の施策ピックアップ!
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「中小企業の海外展開について」

  今月、総選挙が行われました。このコラムの作成時点では、投票が行われていないため、選挙の結果は分かりませんが、今回の総選挙は、この国の今後について、さまざまな選択を国民に求めるものだと思います。選挙の争点は、「原発」「TPP」や「消費税」等となっています。どれも経済問題にかかわっているものですが、海外との取引を行う企業にとって、TPP(環太平洋戦略的経済連携協定)の交渉参加は、大きな関心が持たれているものです。
  海外への事業展開は、今後少子化等により内需が減少することが予想されているわが国において、避けては通れない事柄です。経済の成長を目指すためには、市場を拡大していかなければなりません。市場を拡大する方法は大きく二つに分かれます。一つは、国内市場の拡大、もう一つは海外へ市場を拡大していくことです。前述のように、国内市場は大幅に拡大することが望めないことから、海外市場の獲得は経済政策上、重要な国策と言えます。

そこで、今回は中小企業の海外展開の現状や海外展開に対する支援策についてみていくことにします。


1.海外展開の現状

世界の名目GDPの推移をみると、アジア等新興国のGDPが拡大しているのに対し、世界全体に占めるわが国のGDPシェアは、低下しています。特に、わが国では総人口が減少傾向にあるため、需要の停滞状況が長期化するおそれがあります。中小企業の取引先である大企業の海外移転も進んでおり、中小企業においても、海外需要を積極的に取り込んでいく必要があると考えられています。


11月に日本政策金融公庫総合研究所が「日本企業の海外展開とその影響に関する調査」の調査結果を公表しました。調査対象は、日本政策金融公庫国民生活事業および中小企業事業の融資先1万500社で、中小企業の最新の海外展開事情がわかる調査結果です。この調査結果が示しているポイントは以下のとおりです。


@海外展開している企業の業況は海外展開していない企業よりも上向き

直接投資、委託、輸出という海外展開を行っている企業はアンケート回答企業全体の16.1%にとどまっています。しかし、海外展開している企業は、海外展開していない企業に比べて最近3年間の売上高、採算ともに上向いているものが多くなっています。また、国内事業の従業者数を見ると、3年前に比べて雇用を減らしている企業の割合は、海外展開している企業もしていない企業も4分の1程度ありますが、雇用を増やした企業は海外展開している企業の方が多くなっています。以上から、海外展開は中小企業にとって成長戦略の一つと言えます。


A海外展開している企業と取引している企業の業況も上向き

自らは海外展開していない場合でも、海外展開している受注・販売先をもつ企業は、そうした取引先をもたない企業と比べて、最近3年間の売上高、採算ともに上向きにある企業の割合が多くなっています。3年前と比べた従業者数を見ても雇用を増やした企業の割合は、海外展開している受注・販売先をもつ企業の方が多い状況にあります。つまり、海外展開している企業は、取引を通じて中小企業に好影響を与えていると言えます。


B海外展開の影響を受けている企業は少ない

自ら海外展開しておらず、また海外展開している取引先もない企業では、日本企業の海外展開が増加していることによって経営に何らかの「影響があった」とする割合は12.7%です。良い影響としては「受注・販売先の増加」や「市場の拡大」、「新製品・新事業の開発」など事業機会の増加を、悪い影響としては「受注・販売単価の低下」や「受注・販売量の減少」など企業間競争の激化を挙げる企業が多くなっています。


C海外展開している企業は拡大意欲も強い

自ら海外展開している企業や海外展開している取引先をもつ企業では、今後事業を「拡大したい」とする企業が半数を超えており、「現状のままでよい」「縮小したい」とする企業の割合を上回っています。一方、海外展開と直接関係のない企業では拡大の意向をもった企業は約4割で、5割強は現状維持でよいと考えています。


2012年度版の中小企業白書(以下「白書」)によると、従業者数4人以上の事業所単位の工業統計から輸出企業の数と割合の推移をみると、2009年の輸出企業の割合は2.8%にとどまっているものの、2001年から2009年にかけて、企業数と割合のいずれも、増加傾向にあります。

ただ、国内で活動していくことを選択する中小企業は数多く、また、海外展開には国内とはまた違った課題やリスクも存在することから、わが国の中小企業の輸出および直接投資は、短期的に急増するとは考えにくい状況にあります。

しかし、国内市場と海外市場の成長性の差は明白で、成長を追い求める企業と海外との結びつきは、今後、より強くなっていくと思われます。


2.海外展開に対する支援策

中小企業が海外展開するためには、販売先の確保や現地の事情を精通しておくことが必要となります。さらに、直接投資では、資金面での対応も重要となります。こうした点が制約となり、中小企業では海外需要の取り込みが進んでいないこともあり、国は海外展開を行う・行おうとする企業に対する支援をすすめています。

11月に中小企業庁が「中小企業海外展開支援施策集」(以下「施策集」)を公表しました。この施策集は、中小企業の海外展開を支援するため各支援機関が実施しているおもな支援施策を、中小企業の海外展開事業の段階に応じて整理し、その概要を紹介したものです。ではどのような支援策があるのかざっくりみてみましょう。


<図:中小企業海外展開支援施策集の構成>

図解説

施策集は、どこに相談していいのか分からない場合、ワンストップで相談に応じてくれる「海外展開ワンストップ相談窓口」をまず紹介しています。これは、電話で「どこへ相談していいのか分からない」、「海外顧客と知り合いたい」、「海外展開に必要な資金を調達したい」等、海外展開を目指す中小企業からの相談内容に応じ、各種支援機関や支援施策を案内するというものです。

次に、海外展開を目指す中小企業の事業段階を、「計画策定段階」、「事業準備段階」、「事業開始・拡大段階」の3つに分けた上で、それぞれの段階に応じた支援策を紹介しています。「計画策定段階」は、情報提供や相談、セミナー・講演会等がおもな支援となっています。「事業準備段階」には、グローバル人材の育成のための研修やインターンシップ、商談会や展示会等の国内や海外で行う海外取引先の開拓、製品開発・試験販売等の支援策があります。最終段階の「事業開始・拡大段階」は、資金調達・保険や知的財産権の保護、現地人材の育成・確保等といったものが含まれます。

また、「対象国・地域が限定されている支援施策」や「対象分野が限定されている支援施策」のような内容が明確で具体的な支援策も紹介されています。


<図:中小企業海外展開支援施策集>

図解説

URL:http://www.chusho.meti.go.jp/keiei/kokusai/2012/KTJirei.htm


白書によると、海外への進出先での商取引面の課題・リスクとしては、4割を超える企業が「現地ニーズの把握・情報収集」、「現地におけるマーケティング」と回答しており、輸出開始時と同様、販路開拓に関する課題に直面している企業が多くなっています。資金面の課題・リスクとしては、現地での資金需要の増加に次いで、現地での資金調達の難しさが挙げられています。また、進出先での事業環境面の課題・リスクとしては、為替変動のほか、人件費上昇・人材確保等人材に関係する項目が高くなっています。

このような課題解決、リスク対応のため、施策集にあるような支援策を活用することは有用と言えます。特に、計画策定段階から事業準備段階までは、施策を活用しながら、あまり金銭負担をかけずにトライすることも可能です。もしうまくいきそうになければ、海外展開事業をやめるということも“アリ”だと思います。



以前はあまり大きな声で叫ばれてこなかった「海外展開支援」が「中小企業憲章」の閣議決定により、明示されました。その後、中小企業の海外展開を総合的に支援することを目的とした「中小企業海外展開支援大綱」も策定されました。

少し前までは、海外展開の支援策と言えば、相談事業や専門家派遣事業といったソフトな支援策がメインでしたが、上記でみたようにさまざまな支援策が現在は用意されています。国は今後さらに、中小企業の海外展開支援を力強く行っていく所存であることから、こういった支援策をうまく活用しながら、中小企業が自ら、またはグループ等で海外に打って出ることを検討してもよいと思います。



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