商工会 100万会員ネットワーク COMPASS CLUB
 
スペース
コンパスクラブ コンパスクラブTOP 商い知っ得情報TOP 地域情報TOPページ
スペース
スペース
現在のPAGE

あきない知っ得情報TOP=施策バックナンバー一覧=12年3月「下請取引と下請中小企業対策」

現在のPAGE
スペース
不況を乗り切る施策利用のススメ!今月の施策ピックアップ!
スペース

「下請取引と下請中小企業対策」

  3月の年度末が近づいてきました。昨年からの急速な円高に我慢してきた大企業も次年度の予算の割り振りを行うこの時期、従来からの予算編成を見直すことが予想されます。安価な商品や外注加工費などを求めて、大企業が取引先の整理をするかもしれません。そうなる前に、もっとよい自衛手段はないのか、金額だけではなくそれぞれの企業の良さによって選ばれる術はないのかを下請中小企業は検討することが必要となります。


わが国の製造業のうち約5割が下請中小企業といわれています。また下請中小企業は何も製造業に限らず、建設業やサービス業などにも多く存在し、わが国の産業の発展に大きな役割を果たしています。しかしながら、大半の下請中小企業は、経営規模が小さく、資本蓄積が不十分であるなど多くの問題を抱えています。さらに、下請中小企業は、親事業者からの受注に依存する経営体質にあるため、取引交渉力も一般的に弱く、親企業の取引上の優越的な地位の濫用による不利を被り易い状況にあります。このため、国では下請中小企業の近代化、下請取引関係の改善などを図っています。

今回は下請取引において重要な存在である下請代金支払遅延等防止法と下請中小企業対策について触れたいと思います。


1.下請取引とその現状

サラリーマンは一般的にその勤務する会社の仕事だけを行います。仮に人間一人ひとりが個人事業主だとすれば、サラリーマンは勤務先を親会社とする一社依存の完全下請業者ということになります。しかし、実際にはサラリーマン(労働者)と勤務先(使用者)の間では労働契約法に基づく労働契約(労働者が使用者に使用されて労働し、使用者がこれに対して賃金を支払うことを内容とする労働者と使用者の間の契約)が結ばれ、企業間の請負契約や委任契約とは異なっています。

これに対し、下請事業者と仕事を出す側の親事業者の間には、下請代金支払遅延等防止法(以下「下請代金法」)という法律が存在しています。この法律は、独占禁止法上の禁止行為である不公正な取引方法の一つ優越的地位の濫用について、簡易・迅速に処理することを目的として制定された特別法で、昭和31年に制定されたものです。

下請取引というのは、規模の大きい親事業者から規模の小さい下請事業者に対して、物品等の製造、修理やソフトウェア等の情報成果物の作成および運送等の役務提供等を委託する取引をいいます。

下の表は中小企業景況調査を活用して、下請中小企業の業況判断DI、売上額DI、売上単価DI等を調べたものです。これによると、多くの指標は東日本大震災後の平成23年4-6月期が指標の谷になっているものの、売上数量DI(製造業のみ)は大震災後からの回復もまだ途上にあり、特に下請中小製造業にとっては依然として厳しい状況にあることが伺えます。


<表:下請中小企業景況調査>

図解説

(中小企業庁事業環境部取引課作成:平成24年1月)


また公正取引委員会が公表している「平成22年度における下請法等の運用状況及び企業間取引の公正化への取組(平成23年5月)」によると、平成22年度の下請代金法の違反行為に対する勧告件数は15件で、平成22年度の指導件数は過去最多の4,226件(製造委託等2,977件,役務委託等1,249件)となっており、親事業者による下請事業者への不公正取引の強要が増加したことがわかります。


<図:下請事業者が被った不利益の原状回復の状況>

図解説

(公正取引委員会「平成22年度における下請法等の運用状況及び企業間取引の公正化への取組」加工・編集)


しかし親事業者による下請事業者への不公正取引の強要は、何も大企業が中小企業に対して行っているだけではありません。中小企業も下請事業者との取引があれば親事業者になります。実際に下請代金法違反の割合は、法律の理解が不十分な中小企業の方が高いと言われています。

したがって、中小企業は下請事業者として下請取引を考えるだけではなく、企業によっては親事業者として下請取引を熟知しなければなりません。



2.下請代金支払遅延等防止法と下請中小企業対策

国では、下請代金法の厳格な運用等を行い、下請取引の適正化を進めています。

(1) 下請代金法とは

下請代金法は、下請取引の公正化を図るとともに下請事業者の利益を保護することを目的としています。

下請代金法において、親事業者と下請事業者との関係は、最初から親事業者が優越した立場にあるということを前提としています。このため、この法律では親事業者が守らなくてはならない4つの義務(@注文書の交付義務、A書類作成・保存義務、B下請代金の支払期日を定める義務(受領した日から60日以内)、C遅延利息支払義務)と、行ってはいけない11の禁止行為(@受領拒否、A下請代金の支払遅延、B下請代金の減額、C不当返品、D買いたたき、E物の購入強制・役務の利用強制、F報復措置、G有償支給原材料等の対価の早期決済、H割引困難な手形の交付、I不当な経済上の利益の提供要請、J不当な給付内容の変更・やり直し)を定めています。

上記の親事業者とは、物品の製造・修理および政令で定める情報成果物作成・役務提供の取引の場合、下請事業者(個人を含む)が資本金3億円以下では資本金3億円超、資本金1千万円以下では資本金1千万円超3億円以下の事業者を言います。また、情報成果物作成・役務提供の取引(政令で定めるものを除く)の場合は、下請事業者(個人を含む)が資本金5千万円以下では資本金5千万円超、資本金1千万円以下では資本金1千万円超5千万円以下の事業者を親事業者と言います。

下請代金法により規制を受けるのは親事業者ですが、たとえば、商慣行という名の下に長年にわたり継続してきた取引方法が、実は下請代金法に違反していた、といった事例もあることから、下請事業者も下請代金法の仕組みを十分理解した上で、親事業者と取引することが必要です。


詳しい下請代金法の内容は以下のガイドブック(PDF形式)もご確認ください。
【ポイント解説下請法】
 http://www.chusho.meti.go.jp/keiei/torihiki/2007/download/070713pointkaisetsu.pdf


(2) その他の下請中小企業対策の状況

@下請適正取引等の推進

下請代金法による取締にとどまらず、親事業者及び下請事業者の間の適切な取引を一層推進していくことが重要であるとの認識の下、下請適正取引等の推進のためのガイドラインが平成19年6月に、素形材、自動車、産業機械・航空機、繊維、情報通信機器、情報サービス・ソフトウェア、広告及び建設の8業種について策定されました。ガイドラインには、業界の特性に応じた優良取引事例(いわゆるベストプラクティス)の提示、望ましくない取引慣行や、下請代金法等で問題となるおそれのある行為などが記載されています。

なお、平成20年3月、原油高や建築着工の影響を受けているトラック運送業、建材・住宅設備関係について新たにガイドラインを策定し、業種は10業種に拡大されました。


A「下請かけこみ寺」

取引に関する中小企業の様々な悩み等に対応するため、財団法人全国中小企業取引振興協会(以下、全取協)を本部とし、全国47都道府県下請企業振興協会を地方拠点とする「下請かけこみ寺」が平成20年4月、開設されました。「下請かけこみ寺」は、@取引に関する様々な相談等に対する親身な対応、A紛争の早期解決に向けたADR(裁判外紛争解決手続)の実施、Bガイドラインの普及啓発、を通じて下請適正取引を推進するというものです。


B下請事業者の取引先拡大のための支援

平成19年4月、全取協において、売り手・買い手の効率的なマッチングを支援するためインターネット等を活用したビジネスマッチングステーション(BMS)が開始され、無料で下請事業者と親事業者との間の取引のあっせんを図っています。

平成24年2月末時点において約23,000社が登録しています。


【ビジネスマッチングステーション】
      http://www.biz-match-station.zenkyo.or.jp/




中小企業が案外知っているようで知らないのが、今回取り上げた下請代金法です。自衛のためはもちろん、下請事業者との適正な取引を行うためにも知っておくべき法律と言えます。コンプライアンス(法令遵守)が声高く叫ばれる中、しっかりと周知徹底していくことが求められます。



コラムEND
スペース
スペース スペース
平成23年度版施策知識分野別施策利用情報

分野別施策利用END

スペース
商工会 100万会員ネットワークEND
バックナンバー一覧ページTOPバックナンバー一覧